ケーススタディ
水曜日 16/09/2026 |

FramesyncがDisguiseと共に2025年大阪・関西万博のサウジアラビアパビリオンに命を吹き込む

Osaka Expo 2025

FramesyncがDisguiseとともに2025年大阪・関西万博のサウジアラビアパビリオンに命を吹き込む

同万博で2番目の規模を誇るこのパビリオンは「サウジアラビアの村」をイメージして設計され、石造りの建物や、没入型ギャラリー、ミュージックスタジオ、ビジュアルアーツスタジオ、そして中央にある「サウジ・コートヤード」へと続く狭い路地が特徴でした。

「ともに、より良い未来へ」というテーマのもと、来場者はサウジアラビアの文化をはじめ、国内の都市、海洋保全活動、世界的なスポーツ、そして未来のプロジェクトを体験しました。

Framesyncは2025年3月、A Loud Minority(ALM)のテクニカル・ショー運営チームに参加し、映像システムのプログラミングと運用、プロジェクションマッピング、制御システム、そしてコンテンツ管理を担当しました。パビリオン内にある7か所以上のスペースでは、Disguiseの「GX 3」および「EX 3+」メディアサーバーが稼働。また、ALMはショーコントロール、音響、照明、映像の各部門から25名のスペシャリストとプログラマーによる専門チームを提供し、パビリオンの運営チームや制作チームをサポートしました。 

 課題

2025年4月の万博開幕を前に、Framesyncチームが現地でプロジェクションテストを開始できたのは3月下旬のことでした。そのため、「Sustainable Seas」や「Evolving Cities」をはじめとする技術的な難易度の高いエリアでは、短期間でのシステム調整を余儀なくされました。これらの空間では物理的な目印が限られていたため、プロジェクターの位置調整を行うにあたり、部屋全体のフルスキャンが必要となりました。

パビリオンが開幕した後は、6ヶ月間にわたり連日安定して運用し続ける必要がありました。さらに、大阪特有の暑さや湿度、そして台風シーズンが、屋外の中庭やサーバー室にとって大きな負担となりました。 

コンテンツの更新も課題の一つでした。毎週新しい作品が届くため、来場者が退出した後にDisguiseのタイムラインを更新しコンテンツをプレビューする必要がありました。限られたストレージ容量の中で、Framesyncはファイルの移動、アーカイブ、抽出のための明確なプロセスを構築する必要がありました。

さらに、多くのスペースはパビリオンのスタッフが日常業務として運用していたため、専門知識のないユーザーでも操作や復旧プロセスを行えるようにする必要がありました。

解決策

Framesyncは、Disguiseシステムの導入が決定した後に本プロジェクトへ参画し、パビリオン全体のプログラミング、運用、およびコンテンツ管理を担当しました。既存のシステム構成では、各エリアの要件に合わせて異なる種類のサーバーが採用されていました。 

事前レンダリングされたマルチサーフェス再生を軸とする各ギャラリーでは、EX 3+ メディアサーバーが演出を支えました。離れたサーバー室に設置されたサーバー群は光ファイバーでプロジェクターと接続され、マッピングされたギャラリーの投映面に必要な出力容量を確保。その多くは、単一のタイムラインを同期・実行するディレクターとアクターのペア構成でセットアップされました。

一方、頻繁にコンテンツが更新される「サウジ・コートヤード(中庭)」や「音楽スタジオ」などのエリアには、GX 3 メディアサーバーが採用されました。これらの空間では、週ごとのコンテンツ更新やライブパフォーマンス、Notchによる生成コンテンツ(ジェネラティブ・コンテンツ)への対応など、より高度な柔軟性が求められていました。さらに、出演するアーティストが自身のノートPCを接続し、自作の映像をパフォーマンスに組み込める環境も整えられました。

熱心なNotchユーザーである私にとって、GXシリーズは常に一番のお気に入りです。」と、Framesyncのクリエイティブ・ディレクター、マイケル・アデフェヒンティ(Michael Adefehinti)氏は語ります。
「再生能力、出力数、ジェネラティブパワーのバランスが最も優れていると感じています。
Michael Adefehinti

Framesyncのクリエイティブディレクター

パビリオン全体で一貫したDisguiseプラットフォームを使用することで、Framesyncは短期間のコミッショニングやメンテナンス期間にも対応できました。ソフトウェアとハードウェアが異なるマシン間でも安定して動作することが分かっていたため、夜間メンテナンス時にサーバーを交換する際も安心感がありました。

プロジェクターレンズの設定に関して問題が発生した際、FramesyncはDisguiseを活用して代替となるプロジェクションプラン(検証用モデル)を作成しました。これにより、クライアントとテクニカルチームの双方が、設定変更の内容を明確に把握できるようになりました。この変更作業は、限られた開館時間外のメンテナンス時間内に正確なタイミングで行う必要があったため、この事前検証が非常に重要な指標となりました。 

 成果 

2025年大阪・関西万博において、サウジアラビアパビリオンは200万人以上の来場者を迎え、1日あたりの最高来場者数は2万4,142人を記録しました。万博全体で700件以上の開催が予定されているイベントプログラムの一環として、開幕から最初の60日間だけで175件を超えるイベントが実施されました。 

6ヶ月間の会期中、連日開催された夜間ショー「Evolving Nightly Show」は、固定のプログラムに頼るのではなく、パビリオン内で新しく制作された作品を随時取り入れながら進化を続けました。

「毎日お客様の反応を目にし、日本のホストの方々を驚かせ楽しませることができたのは名誉なことであり、真のつながりと文化交流の瞬間だと感じました」とマイケル氏は話します。

同パビリオンは、Expo 2025 建築・造園アワードでの金賞、ワールド・エキスポリンピック・アワード2025での2つの金賞をはじめ、数々の国際的な賞を受賞しました。また、技術革新を称えるエキスポ・イノベーション・アワードも受賞しました。

Framesyncにとって、2025年大阪・関西万博への参画は日本市場に対する長期的な取り組みの一環となり、同社が「Framesync Japan」を設立し、現地のローカル市場へ本格参入する決定を後押しすることとなりました。 

「6ヶ月間にわたる毎日の稼働、200万人以上の来場者、そして2週間として同じ内容がなかった中庭のショー。 このパビリオンを現実のものにするために関わったすべての人々の情熱に感謝するとともに、その一翼を担えたことを心から誇りに思います 。」

使用したDisguise機器
Credit
Framesync
Michael Adefehinti
Josh Wood
A Loud Minority
Gent Wahlström
David Eversfield
Framesync (画像提供)